ケント紙に
アストリッドとラファエルを描く♪
水彩画(透明水彩)は水彩紙という専用紙に描きます。
水彩絵の具でも不透明水彩の場合は特に紙は選びませんが、
透明水彩に関しては水彩画専用の紙に描くのが基本です。
水彩紙は水彩画の持ち味である『にじみ』や『ぼかし』に適しています。
反対にケント紙などの表面がツルツルした紙は不向きです。
絵の具がうまくにじまず、ぼかし表現も上手くいきません。
水彩画を一度は描いたことのある人ならご存知だと思います。
しかし基本は基本で大事なのですが、
時に基本を外れることも面白いと思います♪
絵は自由ですから基本通りでなくてもいいのです。
そこで今回は敢えて基本を外れてみたいと思います。
製図用のケント紙(つけペンによるマンガにも向いています)に
描く水彩画のメイキングです。
題材は『アストリッドとラファエル』
紙はケント紙ですが、
百均で買った10枚で100円という紙です。
こんな安い紙に描いて大丈夫かと不安になりますが♪
まずはいつも通りに下描きから。
一見、トレースしたように見えますがフリーハンドデッサンです。
下描きの上からカーマイン(赤)を全体に薄く塗ります。
さらに人物だけにもう一度カーマインを塗ります。
この暖色が仕上がりの隠し味になるはずです。
さていよいよ100円のケント紙に色を塗りますが、
にじみやぼかしが水彩紙ほどうまく行かず、
ところどころに絵の具の『溜まり』が出来ます。
普通、水彩画に於ける『絵の具の溜まり』というのは見苦しく、
失敗と捉えることが多いのですが…
なかなか面白い効果にもなるという実例です。
この絵の具の『溜まり』に注目してご覧下さい。
ここからは解説なしで仕上げまで一気にどうぞ!
完成です!
『アストリッドとラファエル』
絵の具が濃くなっている部分に絵の具の『溜まり』ができていますが、
仕上がりの絵を見るとちゃんと水彩画に見えるはずです。
ある意味、こちらの方が瑞々しさを感じませんか?
ケント紙は製図用に開発された紙なので、
ペンやインクで綺麗に描けるように表面がツルツルしていますから、
水彩紙のように絵の具がきれいに広がってくれません。
水彩画の得意技を封印されてしまうのです。
でもそういうリスクを敢えてメリットに変えてしまう。
それが基本を外れるということです。
ただし、この基本を外れる前にまず基本を習得すること。
外れるのはその後です。
いきなり外れるツワモノがいますがお勧めしません。
あくまで基本が第一です。
基本通りに描いても上手くいかない人は試す価値があります。
もしかしたら基本を外れる方が向いているかもしれません♪