岩井田治行の『くまのアクセス上手♪』

興味を持った本と映画のレビューとイラストを描く♪

今のマンガ家は、なぜ動物が描けないのか???

 

 

超人X 1巻
 

 石田スイ 集英社  ★☆☆☆☆ 読むのが辛い!

 

 

 

マンガが読みたい!

とびっきり面白いマンガが!

 

そう思って色々マンガを立ち読みしているのだが、

お金を出してまで欲しいと思うマンガになかなか出会えない!

マンガ好きにとってこれは辛いぜ!

 

そもそも私にとってマンガとは『絵』である。

物語は、絵的なストーリーが4割程度あればいい。

とにかくマンガは『絵』なのだという偏見を大切にしている。

こういう偏見があるから、なかなか面白いマンガに出会えないのだが、

『超人X』というのがなんとなく面白そうだと、私のアンテナが感じたので購入。

読み始めはワクワクしたが… だんだんしんどくなった。

私のアンテナ感度も落ちてきたのか…

 

 

まず『絵』だが、あまり上手い絵ではない。

あえて上手いといえば、偏った上手さだと思う。

この時点で期待が薄れる。

 

そしてこの手のマンガにありがちな『絵の分かりにくさ』がある。

描いている方はわかっているのだろうが

見る方は何が何だかわからないシーンがいくつかあり辟易する。

30ページほど読んで、買ったことを後悔し始めた。またかよと。

 

物語は、

超人の増加により混乱を極めた世界国家が「自治県」に分断されてから、

すでに50年以上が過ぎた世界という無茶苦茶な設定で強引に始まる。

なんのこっちゃ、よくわからん。

 

こういう設定も今の若者マンガの特徴だ。

とにかく突飛な設定がカッコイイということなのか?

とてもシンプルな設定だけど、基本がいい加減だからついていけない。

 

それでもせっかく買ったのだから、半分は読まないと損だと読み進めるが…

出た! 出るんじゃないかと思っていたがやはり出た!

これが出ると俄然読む気が失せる私である。

 

 

♥♥

何が出たかというと、『動物』である。

とにかく今のマンガ家は『動物』が描けない。もう全滅である。

女の子のオッパイやらお尻はとても上手に描くくせに、

こと『動物』になるとまったく描けないところが共通している。

手も足も出ないのだ。

 

これが私には不思議でならない。

判で押したようにみんなが描けない。

描けなさが共通しているというのが不思議でならないのだ。

一定数のマンガ家が『動物』を描けない(苦手)というならわかるが、

ほぼ全員が描けないとなると、これは何かの陰謀かと思ってしまう。

 

つまり、描けない部分がみな同じなのだ。

両生類、爬虫類、昆虫、恐竜は描けるのだが、

哺乳類と鳥類がまったく描けない。なぜ? どうして?

全てのマンガ家が「哺乳類と鳥類は描くのやめようぜ!」

と示し合わせているのだろうか? ンなバカな!

 

38ページに『ハゲワシ』の絵がある。

おかしいだろ、こんな鳥はいない。

どこがおかしいって、脚がおかしい。描いていて気がつかないのか!

鳥の脚は『逆関節』というのは常識だが、

このハゲワシの脚はどう見ても『人間』の足である。

(正確には、鳥の足も人間と同じ方角に曲がります。

膝に見えるところは、人間では『かかと』に当たる。

ただ、絵を描くときは便宜上、『逆関節』のように描くとそれらしく見えます)

 

今のマンガ家は鳥の図鑑を見て勉強しないのだろうか?

その上のコマには『ライオンのような生き物』が描かれているが、

これは『ライオン』ではない。

前脚がおかしい。これは人間の腕である。

 

鳥は難しい。

特に羽が難しいのだが、哺乳類の難しさは前脚と後脚にある。

人間とは骨格が違う。これも動物図鑑を見ればわかることだ。

動物の描き方は、数々の技法書で勉強する事ができる。

 

哺乳類の脚がなぜ難しいのか?

それは『踵(かかと)』の位置である。

人間は踵の上に膝があるが

哺乳類の膝の位置は腿(もも)のあたりになる。

 

人間は踵を地面に付けて歩くが

哺乳類は爪先立ちで歩いているのだ。

簡単なイラストで説明すると下のようになる。

 

四つ足動物が後足で立てないのは、

人間がつま先で立つと不安定になるのと同じ理屈である。

 

四つ足動物の前脚と後脚が難しいのは、

このつま先から踵の角度の描写にある。

だから、哺乳類を描く時の醍醐味はここに集約されると思う。

 

哺乳類と鳥類というこの基本的な勉強を

今の若いマンガ家はまったくしないのだろうか??

それとも、勉強しても描けないのか?

女の子のオッパイやお尻はものすごく上手いのに!

カニックなどもやたらに上手かったりする。

 

私には、とにかくマンガは『絵』だ! とう偏見がある。

特に動物には人一倍厳しい偏見を持っている。

画家なら『動物』ぐらい描けよ! と。

『動物』の描き方ぐらい勉強せえよ! と。

せめて犬と猫の前脚と後脚ぐらいちゃんと描けよと言いたい!

哺乳類も鳥類も『顔』は簡単なのだ。

正直、顔だけはみんな上手い。顔だけは。

 

ところが哺乳類の脚を描くとほとんど全員が全滅する。

鳥は脚と羽を描くとほぼ全滅する。

なぜ? なぜなんだ! やはり陰謀なのか?

哺乳類と鳥類は描かないという暗黙のルールでもあるのか?

 

 

♥♥♥

手塚御大も石ノ森章太郎先生も赤塚不二夫先生も藤子不二雄両先生も

桑田次郎先生も横山光輝先生は下手だったが、

白土三平先生や関谷ひさし先生や石川球太先生なんか

惚れ惚れするほど哺乳類が上手かった。

 

昔のマンガ家は、ストーリーマンガだろうがギャグマンガだろうが、

それぞれのジャンルで『動物』を生き生きと描いていた。立派だった。

女の子のオッパイやお尻なんか見向きもしなかった。

 

それなのになんだ今のマンガ家は!

『動物』ぐらい描けよ! ちゃんと勉強せえよ!

骨格からちゃんと勉強せえよ! サボるなよ!

女の子のおっぱいやお尻ばかり丁寧に描くなよ!

『動物』をちゃんと描いてくれよ!

子供が喜ぶから!

 

 

でもってこの石田スイとかいうマンガ家は『へび』も下手なのだ。

『へび』ぐらい描けよ! 手塚御大のへびの絵を見て勉強せえよ!

 

 

というわけで、レビューではなく悪口であります。

こういう悪口を言うのは、私ぐらいなので貴重だと思う。

個人的にはお勧めいたしませんが好きな人は好きなんだろうなと。

勝手に読んでください!

 

 

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