岩井田治行の『くまのアクセス上手♪』

興味を持った本と映画のレビューとイラストを描く♪

会心のアストリッド♪(水彩画新作)

 

 

いい絵が描けた ワオ♪

 

 

たくさん描いていると

本当にごくたまに会新作ができます

個人的によく描けたなぁと思える絵のことです。

それがこの作品です。

 

(ケント紙にホルベイン&クサカベ透明水彩)

 

 

あくまで自分で『会新作』と思っているだけで、

他人が見てどう感じるかはわかりません♪

 

これも写真を元に描いていますが、

元の写真には捜査本部の背景がありました。

完成作の絵ではこの背景を全て省略しています。

 

そもそも元の写真がとてもいい写真なのです。

その理由は、

アストリッドの神経質で不安そうな表情と横向きの上半身のポーズです。

 

写真を見たときに

まずこのポジティブな形が目に飛び込んできました。

「面白いなぁ」と思ったのです。

 

絵を描くときに、ポジとネガという考え方があります。

ポジティブな形とは主体となる物の形で

ネガティブな形とはその周りの形、つまり背景のことです。

 

この写真でいうと以下のようになります。

右がポジの形、左がネガの形です。

どうでしょうか、面白いと思いませんか?

 

参考写真を見たとき、最初に感じたのがこのポジとネガの形の面白さでした。

ですからこの絵のテーマは、

アストリッドの表情ではなく、

彼女の斜め横向きの上半身の形とそれを取り巻く背景の形なのです。

 

背景のネガティブな形を強調するために

フリーハンドで四角い枠を描きました。

それ以外は軽くスパッタリング技法で絵の具を数滴飛び散らせて

背景にしているだけです。

 

この絵にはこれ以上の要素は必要ないと思います。

 

 

♥♥

絵は作り物です。

だから、どんなに写実で描いても現実のトレースではありません。

あくまでも画面上で創り上げていくものだと思います。

 

このアストリッドの絵はいつものフリーハンドではなく、

写真から鉛筆で輪郭をトレースしました。

そこまでは写真の写し取り作業で、絵にするのはそこからです。

 

シャープペンシルの3Bで輪郭だけをざっと写し取り、

練りゴムで線をこすり、線の濃さを少し薄くしてから着色しました。

 

色は写真に沿って塗っていますが、そのままではありません。

ところどころに創作の色を加えています。

例えば髪の毛ですが、サップグリーンという緑が入っています。

またセルリアンブルーという青も混ぜています。

 

個人的にこの緑と青はよく使う色なんですが、

現実の髪の毛の色ではありません。

 

顔色の青白い部分もセルリアンブルーです。

血色のある部分にはカーマインとカドミウムレッドの赤、

それに少しカドミウムエローライトを加えています。

 

余談ですが、

カドミウムエローライトとカドミウムレッドは肌の色の基本色です。

ただし、主に白人と黄色人種に適用される色です。

なぜなら、今では『肌色』という表示は差別用語だからです。

黒人や南米に住む人の肌色は違いますから。

 

黄色と赤で肌色を作り、

影の部分はそれに青(セルリアンブルー)を加えるという基本は、

今や全人類共通の肌色表現ではないのですが、

アストリッドは白人なのでこの基本に従っています。

 

 

♥♥♥

この絵を見ると、

アストリッドの顔は楕円形の卵型、

首は円柱で

上半身は半円のさらに半分の形から成り立っています。

 

背景部分の左側は、長めの三角定規みたいです。

右の背景はボルトを締める工具のようにも見えます。

ちょうど顔の部分がボルトですかね♪

 

絵を描くときに

対象物の形と背景の形に注目して描くと面白いと思います。

人物を描こうとするとどうしても感情表現が主となります。

喜怒哀楽が描けているか。

人物の性格が描けているか。

漫画風のイラストの場合はキャラが描けているかどうか。

 

そういう描き方もありますが、

人間ではなく『何かの形』として認識する描き方もあります。

このアストリッドの絵は、

アストリッドという女性であると同時に

『面白い形』でもあるんです。

 

描き方は自由です。

どう描いてもいいと思いますが、

絵とはこういうものだという先入観にとらわれずに

色々な視点や考え方で描いてみると楽しいと思います。

 

 

 

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