岩井田治行の『くまのアクセス上手♪』

興味を持った本と映画のレビューとイラストを描く♪

『ヤングフランケンシュタイン』を観て笑う♪

 

 

ヤングフランケンシュタイン

YOUNG FRANKENSTEIN

1974年アメリカ/メル・ブルックス監督作品

★★★★★ とっても可笑しい♪

 

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フランケンシュタイン博士のひ孫?のお話らしい。

まずクラシックで物悲しいオープニング曲が抜群にいい!

これから素敵な映画が始まるのだと、

観客の期待は否が応でもふくらむのだった。

 

名をフレデリックというひ孫は優秀な外科医だが、

『人造人間を創った祖父』と同じ一族と思われるのがいやで、

フロンコンスティンと名乗っている。

 

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こいつがフロンコンステインだ!

 

そこへひいじいさんの遺書が持ち込まれるあたりから、

どうもこの映画は…



主演のジーン・ワイルダーメル・ブルックス監督の共同脚本。

そう、2人のオッサンが、あの名作を元に脚本を書いた!

しかし!

この2人がタッグを組んで脚本を書くということは、

あの名作フランケンシュタインが… 

跡も形も、ほぼ原型をとどめなくなることを意味する。

人はこれをパロディと呼ぶ。

お話の骨格は第3作のフランケンシュタインの復活』らしい。

 

まず…

ひいじいさんのビュフォート・フランケンシュタイン男爵って誰?

さらに、遺書に何て書いてあったのか? 説明がない!

でもって、

いきなりニューヨーク経由?の列車で、トランシルヴェニアへ。

『どんな路線だよ!』と軽くツッコミを入れよう。

さらに、

トランシルヴェニアはドラキュラ伯爵じゃないの?って、

とにかくよくわからない。



★★

… まあいろいろありまして、

呪われた一族の血に目覚めたフロンコンスティン

人造人間を創ります。

 

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コイツら3人で創るのだ!

 

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ほらほら、創ってますよ,人造人間!

 

この作品の新機軸は、

『なぜ人造人間は、2メートルを超える大男なのか?』

という長年の謎について解き明かされるくだりである。

フランケンシュタイン博士が残した貴重なメモによると…

『器が大きい方が作業がしやすい』と。

あ~ なるほどね♪って、

いいかげんにしろよ!

 

するとすかさず、

『男性機能もLサイズになるので、女にモテる♪』

というフォローが入る(下ネタじゃねえか!)

なにしろ脚本をG・ワイルダーとM・ブルックスに任せきっている。

任せてはいけない2人に任せてしまっている。

 

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だから、こんな人造人間が出来てしまう!

 

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それでもわが子のように可愛いのだ!


 

さらに、

任せてはいけない2人を誰も止めないから、

余計な下ネタが必要以上に挿入されてしまうのだ。

しかもこの下ネタがラストへの伏線になっているという、

オリジナルに何の敬意も表していないことがよくわかる仕組みだ。

 

で…

人造人間を演じているのがピーター・ボイルさんだが、

先人のボリス・カーロフに敬意を表することなく、

おでこに何か貼りつけてる他は、ほとんどノーメイク。

 

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おでこに何か貼付けるだけの簡単仕様。ほぼ素顔♪

 

監督が監督だから、まあこんなもんだろう。

 

しかし、さすがにこれではマズい!と思ったのだろう。

人造人間に入れる脳には、ちょっとした工夫の跡が見られる。

アビー・ノーマル氏の脳を使用するのだ。

アビー・ノーマル つまりアブノーマル(異常者)って、

またまた、しょ~もない小ネタが入る。

 

私のお気に入りの小ネタは、

インガ役のテリー・ガーが隠しトビラの向こうで

Put the candle … back!(ローソクを … 元にもどせ!)

と叫ぶシーンだ。

この の微妙な間が可笑しい♪

この可笑しさは観た人にしかわからない。

わからない人は観ても意味がない。



★★★

さてここで、

オリジナルのクオリティの高さがどれほどだったのか、

改めて確認すると…

こうだ!

 

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こ… これは怖い!

 

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こうなると、もう完璧な恐怖の完成度である!

 

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素顔のカーロフ氏の完成度も高い!

 


それに比べ、こちらの完成度はといえば…

 

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別の意味で完成度が高い♪

 

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ここまで来ると、ほぼ完璧な別の意味での完成度だ♪

 

 

★★★★

さて、

こうして出来上がった人造人間をなんと!

学会で発表するのだが…!!!

このシーンは映画史に残る!

こういう学会発表はユニークだ!

 

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何を発表しているのだろう? とても楽しそうだ♪

 

とにかく徹底したパロディだから、

この作品の鑑賞前にオリジナル作品を観ることをお勧めする。

イギリスのモンティ・パイソンがお好きな人には、

たまらない面白さかもしれない。

 

そして、

人造人間の悲しみを描く気などまったくないこの映画は…

あの時の絶叫で幕を閉じるという怒濤のラストへ。

アノ時だよ,アノ時!

いいのか… こんなラストで!

R-15指定じゃないのか?

 

『神を演ずる者は罰せられる』

という教訓をオリジナル作品から学ぶとすれば、

 

ジーン・ワイルダーメル・ブルックス

脚本を任せてはいけない!

という貴重な教訓を我々はこの映画から学ぶ事になる。

 

パロディと言っても低俗なおふざけではなく、

どことなく品がある。

とてもセンスが良く、奥行きを感じる映画なのだ。

後半の盛り上がりがいまひとつだが、

とっても面白い!!

 

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コイツが監督だ!

 

 

ネット上の映画『ヤングフランケンシュタインボリス・カーロフ氏とその他1名の画像を

流用・加工させて戴きしました 感謝!

 

 

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