ヤングフランケンシュタイン
YOUNG FRANKENSTEIN
★★★★★ とっても可笑しい♪
フランケンシュタイン博士のひ孫?のお話らしい。
まずクラシックで物悲しいオープニング曲が抜群にいい!
これから素敵な映画が始まるのだと、
観客の期待は否が応でもふくらむのだった。
名をフレデリックというひ孫は優秀な外科医だが、
『人造人間を創った祖父』と同じ一族と思われるのがいやで、
フロンコンスティンと名乗っている。
こいつがフロンコンステインだ!
そこへひいじいさんの遺書が持ち込まれるあたりから、
どうもこの映画は…
★
そう、2人のオッサンが、あの名作を元に脚本を書いた!
しかし!
この2人がタッグを組んで脚本を書くということは、
あの名作『フランケンシュタイン』が…
跡も形も、ほぼ原型をとどめなくなることを意味する。
人はこれをパロディと呼ぶ。
お話の骨格は第3作の『フランケンシュタインの復活』らしい。
まず…
ひいじいさんのビュフォート・フランケンシュタイン男爵って誰?
さらに、遺書に何て書いてあったのか? 説明がない!
でもって、
いきなりニューヨーク経由?の列車で、トランシルヴェニアへ。
『どんな路線だよ!』と軽くツッコミを入れよう。
さらに、
トランシルヴェニアはドラキュラ伯爵じゃないの?って、
とにかくよくわからない。
★★
… まあいろいろありまして、
呪われた一族の血に目覚めたフロンコンスティンは
人造人間を創ります。
コイツら3人で創るのだ!
ほらほら、創ってますよ,人造人間!
この作品の新機軸は、
『なぜ人造人間は、2メートルを超える大男なのか?』
という長年の謎について解き明かされるくだりである。
フランケンシュタイン博士が残した貴重なメモによると…
『器が大きい方が作業がしやすい』と。
あ~ なるほどね♪って、
いいかげんにしろよ!
するとすかさず、
『男性機能もLサイズになるので、女にモテる♪』
というフォローが入る(下ネタじゃねえか!)
なにしろ脚本をG・ワイルダーとM・ブルックスに任せきっている。
任せてはいけない2人に任せてしまっている。
だから、こんな人造人間が出来てしまう!
それでもわが子のように可愛いのだ!
さらに、
任せてはいけない2人を誰も止めないから、
余計な下ネタが必要以上に挿入されてしまうのだ。
しかもこの下ネタがラストへの伏線になっているという、
オリジナルに何の敬意も表していないことがよくわかる仕組みだ。
で…
人造人間を演じているのがピーター・ボイルさんだが、
先人のボリス・カーロフ氏に敬意を表することなく、
おでこに何か貼りつけてる他は、ほとんどノーメイク。
おでこに何か貼付けるだけの簡単仕様。ほぼ素顔♪
監督が監督だから、まあこんなもんだろう。
しかし、さすがにこれではマズい!と思ったのだろう。
人造人間に入れる脳には、ちょっとした工夫の跡が見られる。
アビー・ノーマル氏の脳を使用するのだ。
アビー・ノーマル つまりアブノーマル(異常者)って、
またまた、しょ~もない小ネタが入る。
私のお気に入りの小ネタは、
インガ役のテリー・ガーが隠しトビラの向こうで
Put the candle … back!(ローソクを … 元にもどせ!)
と叫ぶシーンだ。
この … の微妙な間が可笑しい♪
この可笑しさは観た人にしかわからない。
わからない人は観ても意味がない。
★★★
さてここで、
オリジナルのクオリティの高さがどれほどだったのか、
改めて確認すると…
こうだ!
こ… これは怖い!
こうなると、もう完璧な恐怖の完成度である!
素顔のカーロフ氏の完成度も高い!
それに比べ、こちらの完成度はといえば…
別の意味で完成度が高い♪
ここまで来ると、ほぼ完璧な別の意味での完成度だ♪
★★★★
さて、
こうして出来上がった人造人間をなんと!
学会で発表するのだが…!!!
このシーンは映画史に残る!
こういう学会発表はユニークだ!
何を発表しているのだろう? とても楽しそうだ♪
とにかく徹底したパロディだから、
この作品の鑑賞前にオリジナル作品を観ることをお勧めする。
イギリスのモンティ・パイソンがお好きな人には、
たまらない面白さかもしれない。
そして、
人造人間の悲しみを描く気などまったくないこの映画は…
あの時の絶叫で幕を閉じるという怒濤のラストへ。
アノ時だよ,アノ時!
いいのか… こんなラストで!
R-15指定じゃないのか?
『神を演ずる者は罰せられる』
という教訓をオリジナル作品から学ぶとすれば、
脚本を任せてはいけない!
という貴重な教訓を我々はこの映画から学ぶ事になる。
パロディと言っても低俗なおふざけではなく、
どことなく品がある。
とてもセンスが良く、奥行きを感じる映画なのだ。
後半の盛り上がりがいまひとつだが、
とっても面白い!!
コイツが監督だ!
★
ネット上の映画『ヤングフランケンシュタイン』とボリス・カーロフ氏とその他1名の画像を
流用・加工させて戴きしました 感謝!
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