岩井田治行の『くまのアクセス上手♪』

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アニメ『うぇぶぁんげりうぉ~ん♪』(2)

 

 

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

EVANGELION : 2.0 YOU ARE (NOT) ADVANCE

2009年 日本/庵野秀明 摩砂雪 鶴巻和哉監督作品

☆ なんだか気持ち悪い!

 

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 ★ 大袈裟に思わせぶりに壮大に適当に ★

ついでなので… 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』も観た♪

なんだか徐々に『インチキ商法』にのめり込んでいくようで怖い。

それにしても名前がスゴイ♪ なにしろ『ヱヴァンゲリヲン』だ!

漢字で書くと『円盤蹴音~♪』

(それはもうええから!)

 

『序』の続きが『破』なのは、『序 破 急』という構成らしい。

こういうところが、実になんともあざといのである。

『序 破 急』にさらに第4部が加わり、4部作になるという。

単なる『言葉遊び』のような気もするが…

 

なぜなら『序 破 急』ではなく、『序 破 Q』と来るからだ。

『破』の次の第3部が『Q』… 何の頭文字やねん!

まさか『Question』ってことはないやろな?

もっと考えてんやろな?

 

『Quack 食わせ者』とか『Quickie やっつけ仕事』だったら怒るぞ!

もったりもったり『序』と『破』をやってるんだから、

『Q』は、『Quick!(早よ、まとめ!)』やろ!

 

さて…『序 破 急』の『破』は、展開である♪

あの『ヤシマ作戦』がどう展開していくのか? とワクワクして観ると…

なんと!『ヤシマ作戦』は見事に無視であった!

ああ、そう来るのねと♪

 

で… また新しい『使徒』が現れて、国連?のナントカ機関が迎え撃つ。

このナントカ機関が所有する汎用人型決戦兵器がうぇぶぁんげりうぉんだ!

今回は、新型うぇぶぁんげりうぉん の登場だ! え~い、言いづらい!

初号機→ 新型 と、少しは展開している♪

 

第1部『序』は、導入部なので『どうなるのかなぁ~?』だった。

しかし第2部ともなれば、『ああこうなるの~♪』という

4部作の大切な展開地点でなければならないのだが、

観たところ、これではまとまらない。無理。

というより、初めからお話をまとめる気はないらしい。

 

今回は娯楽性を重視したのか、アクション満載である。

しかし、アクションが多すぎる。(面白いけど♪)

そして、ドラマとのバランスが悪い。

この密度でアクションを描いていけば、物語の居場所はなくなる。

実際、居場所がない。と言うより、引き込まれるほどのドラマがない!

あるのは『思わせぶりな謎』と『ヒステリックな叫び』だけ。

そう、実にヒステリック。

 

この展開部でさえ、『使徒』とは何か?

ヱヴァンゲリヲンの操縦者が、なぜ14歳の少年少女なのか?

なぜ『適合者』しか操縦出来ないのか?… 何も語られない。

14歳の少年少女に、一体どんな秘密があるのだろう?

『14』という数字にワクワクするのだが、一向に答えてくれない。

 

『14歳 』『適合者 』『使途と戦う理由』

この三つがわからないと物語にならない。

なぜ人類は『使途』と戦うのか? それすらわからない!

 

この戦いの勝敗が、人類にとってどんな結果をもたらすのか?

それすらわからないので、主人公たちを応援できない。

人類が『使徒』と戦うお話なんだから、どちらかを応援したい!

 

使徒』だって、よく見るとキュートな顔してるし、

そんな悪い奴じゃないのかもしれない。

使徒』が勝った方が、はるかに地球のためになるとすれば、

シンジくんやヱヴァンゲリヲンを応援する理由などないわけで…

使徒』が栄えて人類滅ぶ。でもいいような♪

大体、地球をここまでダメにしたのは人間なんだから!

 

人類が勝つとどうなるの? 負けるとどうなるの?

しかし、意地でも語らないところが立派でもある。

 

義務教育の最中に徴兵される子どもたち。

だが、何で戦うのかわからないから、シンジくんは悩む。

そもそも、活劇の主人公はあまり悩まなかった。

自分たちの戦いが正義だという確信があるから。

そういう漫画やアニメが大量に創られた後、悩み苦しむ主人公が現れた。

このアニメもそのひとつで、だから絵空事ではないリアルがあると。

これは従来の娯楽とは一線を画した作品だと騒がれた。

 

でも悩むのは主人公のシンジくんだけのようだ。

他の子も、もっと悩むべきだが… 悩まない。

悩み抜いて戦いの後遺症で、みんな頭がおかしくなるとか。

そういう地味なリアルさは微塵もない。

使徒』との対話という外交手段もリアルだが、それもない。

 

だいたい、意味もなく少女の下着姿や裸が出るアニメである。

ファンサービスだけは忘れない、つまりはそういうアニメだ。

だから敵と対話するという『高度な発想』など端からない。

この作品が騒がれるほどの中身を持たないのは、

何か深遠な哲学を含んでいるかのように見せているだけで、

その実、中身は流行りのアニメ活劇にすぎないからだ。

 

ヱヴァンゲリヲンと『使徒』の戦いは、だから実にスタイリッシュだ♪

活劇シーンだけは、本当に力が入っている。

避難した人たちが帰って来ると家も車もメチャクチャである。

使徒と戦う度に町が破壊されて行く過程をリアルに描けば、

使徒を壊滅させても地球は瓦礫の山になるに違いない。

そういうところは描かず『活劇』でごまかすという偽のリアルだが、

それもすべて織り込み済みなのだろう。

 

★ 抽象的作品の具体的すぎる基本設定 ★

この第2部も『活劇』なのか『ドラマ』なのか、中途半端である。

ここら辺はTV版の方がよく出来ていたのだろうか?

この作品の『中途半端さ』は、作品の基本設定にあるようだ。

エヴァ関連の書籍やサイトは、『公式設定』が元になっているらしい。

この『公式設定』というのが、どうも『インチキ臭い』のだ。

 

ウィキペディアによると、『エヴァンゲリオン』という作品は、

『原作:株式会社ガイナックス、脚本:庵野秀明 他』となっている。

つまり、個人の創作物ではなく、いわゆる『企画もの?』らしい。

だから、庵野秀明もしくは、制作サイドが公認した『公式設定』とは、

制作会社の『企画書』のことを意味するのだろう。

この『基本設定』はTV版のものだが、

エヴァ世界は『基本設定』抜きには成立しないらしく、

TV版も劇場版も、同じ設定の上に成り立っているようだ。

 

TV版も劇場版も『ナントカ計画』が物語の核となっている。

この計画を遂行出来るか否かが、人類の存亡に関わる一大事なのだ。

だから新劇場版でも、この『ナントカ計画』は進行中である。

 

まず… この『ナントカ計画』をナントカすべきである。

1995年から現在まで続くムダな公共事業のような計画なのだから。

ムダな事業計画なら中止もあり得るわけだが、

新展開と言いながら、まだ『ナントカ計画』を引きずるという

要するに、まとめようのないムダな『基本設定』である♪

 

基本設定が曖昧なだけでなく、

そもそも『これが描きたい!』というものがないのだろう。

確固たるテーマがあれば、もう完結してる。大した話じゃないのだから!

この設定は活劇ものを重厚に見せるための添え物なのだ。

 

エヴァ世界は旧約聖書がベースにあるという。

『原罪』とか『贖罪』とか… 深いテーマが潜んでいると言うのだ。

邦画で物語の背景に聖書があるものは、大体インチキ臭い。

 

使徒』が襲って来る理由は『基本設定』に具体的に書いてある。

つまりは『配達ミス』だったと書いてある!

1つでええとこ、2つ送ってもうた… それがこの抗争の根本原因だと。

誰が送ったかと言うと… 神様のような、そうでないような…

その誰かさんが2つの隕石を地球に落とした。

地球に生命のタネを蒔こうとした? らしい。

ところが、どこでどう間違えたかタネを2つ蒔いてしまった。

ひとつが人類になり、もうひとつが使徒の元になった?

だからこの2つの生命体が地球の主導権を巡って争うことになった。

確信はないが、そんな感じだ。

 

となれば…

『配達ミス』をした時点で、送り主がリセットせなアカン。

そして、 送り主が人類に『謝罪』するのが筋である。

どんな聖書をベースにしているのか?

この『基本設定』は、基本が破綻している。

そもそも解明する『謎』が形になっていない。

 

非常に抽象的な表現を意味ありげに用いながら

その基本設定が非常に具体的という矛盾に誰も文句を言わない。

 

『ヱヴァ世界』は4つの要素で成り立っている。

『子どもの世界』『大人の世界』『非情な戦い』『大掛かりな謎』だ。

この中で唯一不要なのが『大掛かりな謎』である。

この謎がなければスッキリするが、それではただの活劇になってしまう。

創り手もそこはわかっているのだろう。

謎を解明した時点でこの作品は終わると。

描きたいのは『活劇』であり、深遠な謎は見せかけにすぎない。

特にこの『破』は、アクションに重点を置きすぎてドラマが薄い。

児童虐待・自己陶酔アニメ』という点では統一されているが

見た目には、何か凄い作品に観えるところが上手いのである。

 

★ おまえはガウディの建造物か? ★

『わかりにくい作品』を創る方が簡単で、

『わかりやすく、しかも深く描く』方が難しい。

この作品は『抽象的なアニメ』という新ジャンルらしいのだが、

『基本設定』は、非常に具体的というアンバランスがある。

ヱヴァンゲリヲン』は難解な作品と言われるが、

要は、中心となるお話がなく設定だけが一人歩きしているため、

何やらものすごく神秘的に観える。

難解ではなく、単に『謎を解明しない』だけなのだ。

 

使徒』や『ヱヴァンゲリヲン』の造形の面白さ、スピーディな展開。

カニックやアクションシーンには、目を見張るものがある。

これを観た海外の人は驚くだろう! それほど完成度は高い♪

ハリウッドのCGデザインも、日本のアニメを無視出来なくなっている。

この手のアニメ好きには、たまらなく魅力的な『新手の活劇物』である。

 

もうとにかくこういう作り方なのだから仕方ない。

この作劇法は謎を作るが回収しない。

だから謎がたまっていく。

 

【 ヱヴァ式作劇法 】

1)謎を作る→ 回収しないでメカに夢中になる♪

2)新たな謎を作る→ 回収しないで活劇に夢中になる♪

3)放置された謎は?→ ファンが一生懸命回収する♪

 

ひとえに、ファンの善意で成り立っている作品かも。

 

使徒』とは何か?『ナントカ計画』とは何か?

これを語ろうとすれば、ただのストーリーマンガになってしまう。

しかし、『ヱヴァンゲリヲン』はアニメーションである。

ここら辺りに、創り手のジレンマがあるかもしれない。

『動かすのか物語るのか』という選択である。

 

『動き』に重きを置けば、ゴチャゴチャした設定が邪魔になる。

『語り』に重きを置けば、メカとアクションを抑えるしかない。

二兎は追えない。

 

思春期の葛藤や親子の確執は、アニメ本来の『動き』にはならない。

『ナントカ計画』の全貌は、動きより解説した方が早い。(数分で済む♪)

動かせば語れず、語れば動かせず… さあどうする? である。

 

どうするのだろう?→ ネットで聞いてみよう

 

この『破』は、ラストが盛り上がった! まるで文化祭のようだ♪

あの赤い鳥の名曲『翼をください』が流れるのだ。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm25823943

 

このシーンを観れば、いかにあざといか良くわかる。

実にマニアックなファンが喜びそうな代物なのだ。

別にケチはつけないが、こういうのはよほど好きでないと無理。

この自己陶酔感は、私にはひたすら気持ち悪いだけで、

私はこのシーンを観ながら『翼をください』ではなく、

歌う余裕があるなら『話をまとめてください♪』と思った。

 

こうして『ヱヴァンゲリヲン』は、ガウディの未完の建造物のように

第4部でも完結することなく続いて行くのだろう。

つまるところ…

私にとっての第3部『新劇場版:Q』の意味するところは…

『Quit it!(やめろ!)』であった♪

 

こういう『あざとさ』が何十億も稼ぐというリアル。

お金を儲けるにはファンを味方に付けるべし!

さすがに第3部を観る気はしない。
私はお腹一杯だが、
お好きな方はぜひどうぞ♪

 

 

ネット上の『ヱヴァンゲリオン新劇場版:破』の画像を流用させて戴きしました 感謝!

 

 

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