友だちのうちはどこ？
1987年 イラン／アッバス・キアロスタミ監督作品
満足度 ★★★★★ 号泣です♪
イランの映画を見る機会はそうそうない。
当然だが、外国映画はハリウッドだけのものではなく、
世界中で創られている。
日本にいるとまず観る事のない映画が
ビデオの普及で手軽に観られるようになった。
これはそういう良き時代だからこそ観る事のできる
貴重な映画の１本だ。
♠︎
どんな映画かというとタイトル通りの映画である。
『友だちのうちはどこ？』という映画。
主人公の少年アハマッドが間違えて
友だちモハマッドのノートを家に持って帰ってしまう。
この友だちはその日宿題をノートに書かなかったことで
先生から３回目の注意を受けたばかり。
許してもらえるのは３回まで。
「今度ノートに書かなかったら退学だ！」と怒られる。
隣の席に座っていた主人公アハマッドはこら大変だ！
僕の友だちが退学になってしまうと焦る。
冒頭にこういう伏線が引いてあるところが巧い脚本だ。
そしてその日に、主人公は自分のノートと一緒に
友だちのノートを間違えて持って帰ってしまう。
友だちのノートと自分のノートは表紙がそっくりなのだ。
アハマッドは焦る。
こらいかん！ 今日中にノートを返さないと友だちは
宿題ができない。できないと今度こそ退学だ。
えらいことになった。返しに行こう！
というわけで、アハマッドはノートを返しに行こうとするのだが…
それを見たお母さんが怒る。
「何やってるの。早く宿題を済ませなさい！」
「いや… あのね、僕、友だちのノートをね…」
「宿題が終わるまで遊びに言っちゃダメよ！」
「そうじゃなくてね、友だちのノートを…」
「そんなの明日返せばいいでしょ！ それより宿題なさい！」
もうね、お母さんはアハマッドの言うことなんか聞かないわけ。
言い訳して遊びに行こうとしてると思い込んでるから。
何度説明してもわかってくれない。
だからアハマッドは母の目を盗んで、
モハマッドのノートを返すため隣村まで駆け出します。
ところが困った。
友だちのうちがわからない。
隣村だということしかわからない。
隣村で聞くと
枯れ木の近くにある青い扉の家らしい。
枯れ木なんてたくさんある。
青い扉もたくさんある。
もう全くわからない！
85分の短い映画ですがここまでで25分ぐらい。
残りの60分を友だちのうちを探して回るだけ。
ただそれだけの映画。
探すだけで１本の映画を創ってしまった。
果たして主人公は友だちのうちを探し当てられるのか？
そして今日中にノートを返すことができるのか？
これがねぇ、やたらのサスペンス映画よりハラハラします。
ドキドキします。どうなっちゃうんだろうってね。
でもって応援しちゃいます。
ぐわんばれ～～！！って。
もうね、大傑作です♪
♠︎♠︎
アハマッド役の少年と生徒たちは素人でしょう。
登場する大人たちはプロの役者なんでしょうが
子供達はいわゆる子役ではないと思う。
この主人公アハマッド役の少年と同級生の子供たちの演技がね、
もう演技とは思えない。それほど自然。
これは監督の演出力以外の何物でもないと思うけど、
すんごいんですよね。
まるでドキュメンタリー番組をみているように自然で
思わず引き込まれます。
映画の出だし５分だけ観てください。
もう目が釘付けになるはず。
そして友だちのうちを探して探して探して探すだけ。
日が暮れてくる。
アハマッドはお母さんにパンを買ってくるように言われてるけど、
もうパン屋なんて閉まってる。
でもって友だちのうちは見つからない。
母さんに言われた買い物もできない。
どうなっちゃうんだろうこの子？
がんばれ～！ っておじさんは応援するわけ。
でも友だちのうちが見つからないのよ。
♠︎♠︎♠︎
そして翌日。学校で。
このラストシーンがいい。
ちょっとしたドンデン返し？ があります♪
もうおじさん号泣です！
そうくるのかよ～！ ずるいよ～！
泣いてまうがな～！！
ハンカチではなく、バスタオルを用意して観るべし！
一生分泣いてください。
とっても巧い脚本。
このラストは思いつかなかった。
もうだめ。ずるい！ こういうラストはズルイ！
という映画です。
強く強くお勧めします。ぜひどうぞ♪
★ネット上の『友だちのうちはどこ？』の画像を流用し、加工させて戴きました★
感謝！
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